君がいるだけで…[番外編短編集]
周りは賑やかで、すでに祭りの雰囲気が漂っている。


『(紗羅、大丈夫かな…)』


俺は今、駅で紗羅を待っている。


待ちながら考えるのはもちろん紗羅のことで。


集まった時に祭りの話が出てから、
やっぱり紗羅は元気を失っていた。


そんなに元気の無い紗羅を見ていたら
物凄く申し訳なくなったけど、


『(俺と2人なの、そんなに嫌なのか…?)』


と、俺の方がショックなんだけどな。


そんなことを思っていたら、
前方から愛しい人がこっちへ向かっているのが見えた。


しかも、いつもの笑顔だ。


来る時に何かあったのだろうか?


まぁどっちにしろ笑顔が戻ったことは良かった。


「お待たせ、真尋くん!」

ハァと息を切らしてまで急いで来てくれた紗羅に思わず笑みが溢れる。


『そんなに待ってないよ。』


そう言いながら紗羅の手を握って、
祭りが行われる神社へ向かった。


「相変わらず凄い人!」

『紗羅、はぐれないでね。』


「それ、美月と朔也にも言われた!」

もう、とちょっと怒った感じで言うけれど、
納得してしまった。


2人が心配になるのはわかる。


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