君がいるだけで…[番外編短編集]
浴衣姿で無我夢中で走っている私は、
端から見たら相当変な人だ。


でも私にはそれさえもどうでも良かった。


電車を待つ時間や、エレベーターを待つ時間、全てがもどかしかった。


「は…っ、」


階に到着した途端に飛び出た私は、
ある部屋のインターホンを鳴らした。


ドアが開くまでの時間も、
全てがもどかしかった。


そして、ガチャッと、
いつもと変わらない様子でドアが開いた。


< 132 / 219 >

この作品をシェア

pagetop