君がいるだけで…[番外編短編集]
「もしも…、」


最後まで言わせてもらえず、
携帯の向こうからはキーンとした声が。


びっくりして思わず携帯を耳から離した。


「紗~~~羅~~~っ!」


「みっ、美月…?」


何事………?


携帯の向こうからは、
今にも“助けて”と願う声が聞こえて来た。


「ど、どうしたの…?」


もしかして美月に何かあったのかと、
とても心配になってそう質問すれば。


「チョコケーキ、て作れる?」


まさかのここでもバレンタインの話だった。


「チョコ、ケーキ…?」


一瞬自分の耳を疑った。


「どうしたの、急に。」


美月は毎年、手作りはしなかった。

それが今年は手作りしようとしているなんて、驚きだ。


「実はね、こないだ雅也が雑誌見てるのをチラッと見たら、ちょうど開いてたページがバレンタイン特集で。」


「うん…」


「しかも、手作りのページに見入ってて。」


やっぱり彼女からは手作り貰いたいのかな~って思っちゃって。

なんて美月が携帯の向こうで呟いている。


「ふふっ」


美月も何だかんだ言って雅也くんのこと大好きだもんね。


「美月、明日空いてる?」


「明日…、あっ、ちょうど休みだよ!」


こんな偶然てあるんだね。


「じゃあ一緒に練習しようよ!」


「するするー!ありがとう、紗羅!」


「じゃあまた明日ね!」


詳しく時間を決めて、通話を終了させた。


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