君がいるだけで…[番外編短編集]
「あ、玲子さん!これ…」


ちょうど外から戻って来た玲子さんを呼び止めて、
小さめの紙袋を前に出した。


「え~っ!?いいのぉ!?」


「もちろんです!いつもお世話になってますから。」


「あら~、ありがとうね!」


素敵女子ね~なんて呟きながら、

早速紙袋を開けて一つ手に取り、口に入れた玲子さんにちょっとドキドキした。


「これ、会社の皆に渡したの?」


「えっ、はい。もしかして、美味しくなかったですか?」


美月と何度も練習して、前日もちゃんと試食したつもりだったんだけどな…。


なんて不安に思っていたら、
予想していなかった言葉が返って来た。


「美味しいから、男性陣が勘違いしそうね。」


これ、中身皆違うんでしょ?
とまた付け足して聞かれたので、


「好き嫌いがわかる人には、一応変えてあります」


と、本当のことを答えた。


「うーん、紗羅ちゃん悪女ね!」


「えぇ、何でそうなるんですか!?」


「ふふ、これごちそうさま!また後でおやつに食べよ~っと」


その言葉はスルーされた。


聞こうと思ったけれど、答えてくれなさそうだったのと、美味しくなかったわけじゃないと知ったので、聞くのを止めておいた。


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