君がいるだけで…[番外編短編集]
そして二人でまた仕事に取り掛かろうとした時、
肩に重みを感じた。


「…!?」


突然のことでびっくりして、
声が出なかった。


『ちょっと紗羅ちゃーん、』


声を聞いて素早く振り返る。


「高っ杉、さんっ…!」


正体がわかってホッとしつつ。


「脅かさないでくださいよ!」

という私の言葉は聞こえているのかいないのか。


そのまま高杉さんが言葉を発した。


『俺は悲しいよ、今まで純粋に世話して来たのに。いつの間にか紗羅ちゃんが弄ぶの得意になったなんて…』


「あの、全然意味が…。しかも顔、近いです…」


やたら顔を近付けて肩に手を回してくる高杉さんから離れようとしていたら。


「部長ー、ここに変質者がいますー!」


と、玲子さんが助け船を出してくれた。


『可愛い後輩とのスキンシップだよ!』


ねっ?なんて同意を求めてくる高杉さんにはもはや苦笑いを浮かべるしかなかった。


「で、あんたは何で私の可愛い後輩に絡んでるわけ?」


玲子さんがズバッと聞いてくれたおかげで、
近かった顔はと手は離れていった。


しかし、今度は両肩に手をガシッと置かれた。


『そうだよ!紗羅ちゃん!俺は聞いてないよ!?部長が本命だったなんて!』


その一言に、私と玲子さんは目が点になる。


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