君がいるだけで…[番外編短編集]
「はい…?」

「はぁ、馬鹿じゃないの?」


そんな私と玲子さんの言葉に高杉さんはキョトンとしている。


『え、違うの?』


「ち、違いますよ!」


部長は若くもない只のおじさんだ。
失礼だけど、本命だなんてあり得ない。


「だいたい私、彼氏いますから!」

ていうか彼氏いること知ってますよね?


そんな私の考えが伝わったのか、
高杉さんが答えてくれた。


『え、だって嬉しそうに桐谷くんから貰ったんだよって見せてくれたよ?』


それに俺貰ってないし。
なんてちょっと不貞腐れている高杉さんに納得した。


そういうことだったのか。


「会社の人皆に渡してますよ。高杉さんは朝から忙しそうだったし、戻って来たら渡そうと思ってたんです…」


そう言って最後の一つを高杉さんに手渡した。


『何だー!良かったよ、紗羅ちゃんが純粋なまま育ってくれて。』


「高杉さんに育てられた覚えはありませんけど…」


そんな私の嫌味はもはや高杉さんには聞こえてなさそうだった。


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