君がいるだけで…[番外編短編集]
そう思いつつ止まっていた手を動かして、
すぐに料理が完成した。


テーブルの上のセッティングもばっちり。


『おっ、旨そー!』


真尋くんがタイミング良く寝室から出てきた。


「ごめんね、こんな物しか作れなくて。」


『いやいや、十分だよ。てか俺の方こそごめんな。』


真尋くんが謝って来たので、
首を傾げれば。


『せっかくのバレンタインに何処にも出かけられないし、紗羅も仕事で疲れてんのに料理作らせちゃって。』


その言葉を聞いて慌てて否定する。


「そんなことないよ!料理作るの楽しいし、真尋くんと一緒に過ごせるだけ十分。」


そう言えば、真尋くんは微笑んでくれた。


『ありがとう』


その言葉と同時に、
おでこにチュッとキスをされた。


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