君がいるだけで…[番外編短編集]
『紗羅ー、いつまで拗ねてんのー?』


あれからかなり反抗してみたけど、
真尋くんはいつになく強制的だった。


私の反抗虚しく、
現在一緒にお風呂に入っている状況だ。


だけど私は、浴槽で真尋くんと距離を開け、
尚且つ真尋くんに背中を向けている。


『まぁいいけどね。』


遠くから聞こえていたはずの声が、
何故だか近くで聞こえた。


何でだろうと思って振り返ろうとした時にはすでに遅かった。


「………っ!?」


気付けばまた後ろから抱き締められていた。


『隙あり。』


「#☆●▽◆◎!?」


『紗羅、何言ってんのかわかんないよ?』


クスクス笑っている真尋くんが近い。


服を着ていた時とは違う。


肌と肌が触れ合っていて、私の緊張は最上級。


『まぁまぁ。落ち着いて?』


そんな真尋くんの言葉にまた反論しようとしたら、言葉を被せられた。


『何もしないから。だけどさ、こうしてより近くで触れ合うと、落ち着かない?』


俺は紗羅とこうしてるだけでめちゃ落ち着くんだけど。


そう付け足した真尋くんに私は大人しくなる。


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