君がいるだけで…[番外編短編集]
トクントクンという鼓動を感じて、
真尋くんの言葉の意味がわかった気がした。


「うん、落ち着く…。」


『だろ?』


ちょっとずつ慣れて来て、
何だか心があったかく感じた。


のにも関わらず…


『でもさ、これ以上のことしてんのになんで照れるわけ?』


何てことをさらりと言ってのけた。

雰囲気ぶち壊し!


「もう知らない~~~っ!」


真尋くんに水をぶっかけて、
そそくさとお風呂を出た。


真尋くんが何か言っていたけど、無視だ無視だ。


すぐに追いかけてくるかと思ったけど、
まだ真尋くんはお風呂に入っているみたいだった。


「はぁ、逆上せるかと思った。」


そんな呟きは、ドライヤーの音に消された。


別に怒ったわけじゃなかったんだけど。

慣れないんだもん。


そんなことを思いつつ髪の毛を乾かしていたら、
肝心のチョコを渡していなかったことに気づいた。


真尋くんがお風呂から出てきたら渡さなきゃ。


< 165 / 219 >

この作品をシェア

pagetop