君がいるだけで…[番外編短編集]
「よぉし!オッケーだよ」


カチッとドライヤーを切って、
真尋くんにそう言った。


『さんきゅ。で、もういいでしょ?』


「まだダメ!」


『次は何…』


呆れた声の真尋くんに今度は何も言わず、
とりあえずドライヤーを元の場所に戻しに行って。


『紗羅ー、何してんの。』


リビングに戻ってからはすぐにキッチンへ。


キッチンのフライパンなどが収納してある場所に、綺麗にラッピングをした紙袋を隠していたのだ。


「ふふっ。今行くー」


バレバレだけど、一応後ろに隠して真尋くんの所へ向かった。


『紗羅?』


いつもは鋭い真尋くんだけど、
そういうことは鈍いよね、真尋くんって。


「はい、これ。ハッピーバレンタイン!」


真尋くんの前に紙袋を差し出すと、ちょっとびっくりした顔を一瞬だけ見せた後、すぐに満面の笑みに変わった。


『ありがとう、紗羅。』


そう言って紙袋を受け取るかと思いきや…


「きゃぁっ!?」


あろうことか私の手首を掴んで、
ソファーに引き上げられた。


私の体は、すっぽりと真尋くんの体に収まっていた。


しかも、ちゃんと紙袋は潰れないように真尋くんの手元にあった。


そういうとこはしっかりしてる。


そんなことよりも、この状況は何?


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