君がいるだけで…[番外編短編集]
『紗羅も食べる?』


「えっ、いいの!?」


まさかの提案に嬉しく思った。

やっぱり甘い物は人が食べていると食べたくなる。


『いいよ』


そう言った後、真尋くんは一つスノーボールを摘まんで、何故か自分の口の中に入れた。


「くれるんじゃないの…?」


心外だと言うように真尋くんを見つめてみれば、


『あげるよ、……口移しで。』


その言葉と共に、真尋くんの顔も近づいてきた。


「えっ、ちょっ、待…っ」


最後まで言う前に私の唇に真尋くんの唇が重なった。


「ふっ、んん…」


キスと共に、スノーボールのサクサクしたクッキーと、甘いホワイトチョコが口内に広がった。


「真、尋く…ん」


最初は抵抗していたけれど…、
気付けば真尋くんとのキスに夢中になっていた。


『紗羅、ベッド行こうか…?』


ニヤリと意地悪く笑った真尋くんに、
抗うことは出来なかった。


「うん………っ、」


そして、甘い甘ーい、バレンタインの夜を二人で過ごした。



二人のバレンタインは、とっても甘い、ホワイトチョコレート。

《チョコレートは何味?スノーボール。end》


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