君がいるだけで…[番外編短編集]
『じゃあ、何なの?』


わからなくてストレートに聞いてみる。


「………」


いつもはハキハキとしている彼女も、
今日だけは戸惑っているのが目に見えてわかった。


これは、何を問っても答えは返って来なさそうだ。


『まぁ、いいや。』


そこで俺は美月に問うのを諦めて、
リビングに戻ってすぐにコンビニにでも行こうと思って、財布と携帯だけ手に持った。


「ま、雅也…っ」


それを怒ったと勘違いしたらしい美月は、
ちょっと顔を歪まして俺を引き止めた。


そういう所はわかりやすい。


「あ、明日まで待って。」


素っ気なくだけど、
ちょっと困惑したのがわかった。


『了解。コンビニ行くけど、何かいる?』


それがわかれば、もう問いただすことはしない。


「いらない…」


こんなにもしおらしい美月はレアだな。


『じゃあ、ちょっと行って来るわ』


「行ってらっしゃい」


最後はいつもの美月に戻っていた。


俺は、対して用もなかったけどコンビニへ向かった。


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