君がいるだけで…[番外編短編集]
『帰ったら美月ちゃんに怒られたりしねーの?』


俺が一つの紙袋にまとめたチョコやら何やらを横目に、だけども手を止めずにちょっと楽しそうに俺にそう言った聖人。


『美月はしねーだろ。』


つか美月の性格を知ってるはずだ、コイツは。


『意外とわかんないよー』


なんてケラケラ笑っている。


俺はコイツが未だにわからない。


そう思いつつ、俺も仕事に取り掛かった。


せっかく美月が早く帰って来てと珍しくお願いしてくれたのだ、定時に帰らなければ。


『でもま、意外だよなー。』


いきなり呟いた聖人に何がだと視線だけ向けた。


『雅也が一途になるなんてさー』


前までは一緒に遊んでたのにな。なんて付け足した言葉にはソッコー突っ込みを入れた。


『うるせーよ』


そう言いつつ思わず笑ってしまった。


確かに美月と付き合う前は特定の女なんていなかったし、一途に誰かと付き合ったこともなかったりして。


聖人の言う通り、俺も随分変わったもんだ。


『後、甘いの苦手なのも意外だよな!見た目はめちゃ甘い物好きそうだし、遊んでそうなのにな。』


それは余計な一言だ。


『仕事しろ、仕事。』


そこで会話を終了させて、その後は仕事をいつも通り頑張った。


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