君がいるだけで…[番外編短編集]
寝室に入ると、美月はベッドの上の真ん中に俺に背を向けて座っていた。


俺はベッドの端に腰掛けるようにして座って、言葉を発する。


『美月、俺の話聞いて。』


その言葉に返事はなかったけど、拒否はされなかった。


『遅くなったのはほんとごめん。でも、高木さんに誘われて断れなかったんだ。店もいつもの居酒屋だよ。』


「そんなのほんとかどうかわかんないじゃん」


『確かにそうだよな。でも俺は、早く帰って来てって言われたこと忘れてなかったよ。むしろ、早く帰れるように仕事頑張ったし。』


まぁこんなこと言っても信じられねぇよな。
と付け足して、どうすればいいのか考えていた。


だか、何も良い考えは思い付かなかった。


どれも、言い訳にしかならない気がした。


一旦頭を冷やそうとキッチンへ向かって、冷蔵庫から水を取ろうとした。


ら………、料理が数種類置いてあることに気付いた。


『………っ。』


それを見れば、申し訳なさでいっぱいだった。


まだ寝室にいた美月の所へ戻り、後ろから抱き締めていた。


「ちょっ、離して…っ!」


『悪かった。』


ただただ謝った。


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