君がいるだけで…[番外編短編集]

数分経った所で、美月が言葉を発した。


「あー、もう！もうわかった！」


呆れたように声を出す美月を見ると、顔も呆れた顔をしていた。


『美月…、』


「ほんとはわかってるよ、雅也が浮気とかする男じゃないって。でも…」


そこで言葉を止めた美月は、ちょっと寂しそうな表情をした。


一瞬だったけど、それを見逃さなかった。


「雅也モテるし、チョコもいっぱい貰って帰って来ちゃってさ。」


それだけ言うと美月は俯いてしまった。


『なぁ…、それってさ、』


「うるさい！言うな！」


ちょっと怒って言った美月は、俺に顔を見せようとせずにベッドから降りて足早に寝室を出て行ってしまった。


それってさ、嫉妬………？


聖人の言っていたことを理解した。

美月も意外とヤキモチを妬くらしい。


『美月ー、』


俺も美月を追って寝室を出れば、普段の美月の声が返って来た。


「うっさい！」


いや…、まだ何も言ってないんすけど？


「ご飯、作ったけど、食べる」


さっきまでキツイ言葉が返って来ていたのに、そう聞いてくれる美月は何だかんだで優しい。


『もちろん食べる！』


「じゃあ自分で温めて」


なんてまたキツイ言葉が返って来たけど、結局は美月が準備してくれて、一緒に晩御飯を食べた。


『旨いよ』


「そう。」


素っ気ない美月だけど、表情はそんなことなかった。