君がいるだけで…[番外編短編集]
『ごちそうさまー』


「ごちそうさまでした」


二人同時に食べ終えると、美月がすぐに席を立った。


「雅也、まだ食べれる?」


そんな質問にまだ何があるのかと不思議に思いつつ、本年を言う。


『そんなには食べれないけど、ちょっとなら』


そんな言葉に返事は返って来ず、冷蔵庫から何かを取り出した美月は静かに俺の元へ運んで来た。


目の前に置かれた物に俺は目が点になる。


『美月、これは…、』


「か、形は紗羅と一緒に作った時みたいに上手く行かなかったけど、あ、味は大丈夫だと思うっ」


恥ずかしそうに説明をしてくれる美月。


これは…、もしかしなくても、


『バレンタインの…?』


確かに少し歪にも見えなくもないが、美味しそうなチョコレートケーキに頬が緩む。


しかも、聞き間違いでなければ、事前に紗羅ちゃんとこに行き練習までしたのだろう。


これだったのか、昨日真剣になっていたのは。


まさか美月が手作りでバレンタインにくれるなんて思わなかったので、呆然としていた。


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