君がいるだけで…[番外編短編集]
『朔也せーんぱい!』


楽しそうな声で朔也先輩に声を掛ける慎吾。


『…びっくりした。』


そう言って振り返った朔也先輩だけど、やっぱり冷静だ。


『お久しぶりです。』


俺がそう言えば、笑顔を見せてくれた。


『久しぶりだな。元気か?』


『見ての通り元気っすよ!』


『そうだな。慎吾は元気が取り柄だしなー』


『何か褒められてる気がしないんすけど。』


『褒めてる褒めてる。』


高校時代のような会話をして、少し懐かしい気がした。


世間話をした所で、気になったことを聞いてみた。


『ところで朔也先輩も、ホワイトデーのお返し買いに来たんですか?』


『あぁ、まぁな。』


『もしかして、彼女っすか~?』


朔也先輩は意外にも(と言っては失礼かも知れないが)彼女と続いていた。


『いや、あいつと紗羅は何でも喜んでくれるから決まったんだけど。問題は…』


そこで言葉を止めた朔也先輩が何を言いたいのか、何故だかわかってしまった。


『美月先輩ですか…』


苦笑いしながらそう言えば、同じく苦笑いを返された。


『よくわかったな』


『俺も同じなんで。』


俺の場合は美月先輩ではなく、美鈴だ。


紗羅は朔也先輩が言ったように確かにどんな物でも喜んでくれる。


美鈴は…、


『あいつ、せっかく選んだ物に何かしらケチ付けるからな…』


朔也先輩の言葉は、全く同じだった。


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