君がいるだけで…[番外編短編集]
会社で毎年渡すことは知っているし。


高杉さんにだって、上司として紗羅がいつもお世話になっているからあげているのも知っている。


ただこの人には、前科がある。


俺が日本に帰って来た時、紗羅と結婚したのは自分だと嘘を付いたのだ。


紗羅の気持ちを考えて高杉さんがあの時そう言ったことはわかるのだが…。


どうもあの時から俺はこの人が…


『(苦手だ…)』


玲子さんという紗羅が一番お世話になっていて、尚且つ紗羅にとっては大好きな上司でもある人が高杉さんの本命であることはわかっているが…、

どうも違う意味で紗羅を気に入っているようで。


紗羅も玲子さんはもちろん高杉さんのことも尊敬していて好きと知っているから尚、ちょっとだけ苦手なのだ。


別に恋の方面で心配しているわけではない。


俺と紗羅が別れていた期間を、彼は知っているのだ。


正直、紗羅を俺に任せることを納得していないような気がしてならない。


『(まぁ俺が考え過ぎなのかも知れないけど)』


もう一つ苦手な理由、


この人は相当頭が良くて、頭が切れる。


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