赤いネクタイ


「そういえば部屋って決めたの?」



県外の大学に行くと部屋を借りるか寮に入るくらいしかない。


私は親に仕送りしてもらいながらバイトしてる。


親の仕送りには、ほとんど手をつけずに


なんとか自分のバイト代で生活してる。


とは言っても家賃や光熱費は親が払ってるけど。



「決まってるよ」

「どんな部屋?」

「優の部屋」



優希はにっこり笑って、そう言った。


私の部屋?



「は?」

「優の親には許可貰ってるよ?」



そういえば昨日


お母さんとお父さんが



『あんな格好良くて礼儀のある息子が欲しかった』



なんてことを言ってたような…


あれって優希のことだったわけ?


てっきり、どっかの家の息子さんの話だと思ってた。



「優の返事は分かってたから、優が帰ってくる前に親にお願いしてたんだ」



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