赤いネクタイ


「彼女とは別れたんだ。だけど…」

「だけど?」



今、知ったよ。


だってね?


優希のネクタイの色が緑だから…



「だから、頂戴?」

「……」



私は黙ったままネクタイを外し優希に差し出した。


優希は自分のネクタイを外し



「先輩が着けて?」

「……」



私と視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。


私はそっと優希にネクタイを付けようとした時



「……ン…」



優希と唇が重なった。


それがキスだと気付くのに時間が掛かった。


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