赤いネクタイ


−2年後



「懐かしい」



私は2年前に卒業した母校の前に来ていた。


2年前、優希が約束してくれた。


約束通り優希は私の通う大学に受かった。


だから…



「優先輩!」



振り返ると2年前と同じように優希が立っていて


あの日、私があげたネクタイをしていた。


優希には悪いけど私のネクタイの裏には刺繍がしてある。


家庭科の時間になんとなく
刺繍したヘタクソな花。



「優先輩」

「…優希」

「へ?」



私はすぐにネクタイの裏を見た。


そこには少し解れたヘタクソな花の刺繍があった。



それは毎日、優希が使ってくれてたんだって思えた。


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