英国喜劇リトレイス
俺はガバッとベッドから飛び出た。
「うわ、いきなりどうしたよ?」
不満気に上げられた目は、俺の顔を見てはっとした。
「決めた。ロンドンに帰る」
「は?」
「んで、市民に謝って、どうにか戦いに参加してもらうんだ」
「いいのか……あんなに嫌だって言ってたのに?」
俺は真っ直ぐ、イアンの目を見つめ返した。
「ああ。思い出したんだ。俺がやんなきゃいけないことを!」
俺は右腕をまさぐった。
肩に近い腕に巻き付くベルトを緩めると、手首まで下ろす。
革のベルトに腕時計のようにくっついたガラスが1枚、クローバーが光に煌めいた。