英国喜劇リトレイス
「簡単で大勢をしとめられるいい手だろ?」
「無茶苦茶な力を持ったあなたしかできませんよ」
「全くだ。俺の出番消えたじゃんな」
振り向くと、応援を連れたエルヴィスが、残念そうにかけてくるところだった。
「相手は撤退を始めてるし、日も傾いた。潮時な。退くぞ」
見ればエルヴィスのいう通り、この場所から人が減っていた。
「追撃には志願してきたルパートを送った」
! 手が早い
レイモンドもそう思ったか、ゆっくりと頷いた。
「わかりました。行きましょう」
「そういえば…」
ポン、と手を叩いてエルヴィスはレイモンドの顔をまじまじと見る。
「モノクルないと何か幼いな、レイ」
「大きなお世話です」
レイモンドが先に歩いていってしまうと、俺とエルヴィスは顔を見合せ密かに笑った。