英国喜劇リトレイス
9 侵攻開始
翌朝
思った通りよく眠れた俺は、存分に寝坊した。
「いってぇ……」
朝だというのに、視界はじんわり滲む。
そんな俺をイアンはジロリと睨んだ。
「お前が起きないのがいけないんだろ」
「だからって殴ることはないだろ!! 見ろこの痛々しいたんこぶ!」
「自分で痛々しいとか……言うなっ! 大したことない!」
「うぎゃっ!」
ヒドイ。
本気でたんこぶを殴るってあり得ないよな
「なんか言ったか?」
何で聞こえてるんだよ。
地獄耳か? いや鬼だからそれもそうか。
「全部口に出てんだよ!」
「ぎゃーっ!」