英国喜劇リトレイス
10 開放せよ
そして――決戦の日が訪れた。
「ディゼル…大丈夫か?」
「……頭が痛い」
「そうか…。ここ数日眠れないでいたからな。やっぱり……」
そう言って顔をぐっと近づけて俺を覗きこむ。
俺はその頬に拳を突っ込んだ。
「へぶっ! 痛い。痛いよディゼルさん? 何でいきなり殴るかな?」
何って、忘れたとは言わせない。
「あ? 昨夜のお返しに決まってんだろがこのバカ!!」
「バカとは失礼な!」
「失礼はどっちだ!」
叫んだとたんに、後頭部がズキリとした。