桜が降る場所 (完)
 

「……フラれたの。でもまだ好きだし高野とは付き合えない。もういいでしょ?私帰るから」


「……相手は?」


食い下がって聞く俺に向かって、川嶋は低い声で答える。


「それこそ、高野には関係ない…!」


その時、川嶋がチラッと体育館の方に目線を向けたのが見えた。


「………」


その視線に、ピンときた。


マジかよ…。


「………本庄か」


「!」


川嶋の身体がビクッと動いた。


――ビンゴ。


本庄は、うちの高校の体育教師だ。


イケメンな上、性格もいいから、男女問わず生徒には人気がある。


コクるくらいだし、本気なのか…。


「フラれてもまだ本庄のこと好きなんだ?…報われなくても?」


「――――」


無言の肯定、ってやつ?


ふーん。

 
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