桜が降る場所 (完)
「もう…なんなの…」
力が抜けるし…。
ふっと視界が暗くなる。
「?」
顔を上げると、私は桜の木と高野の間に挟まれていた。
「!え、な、何っ?」
「さっきの、もう一回聞かせて」
「えっ!?」
高野と私の距離は、近い。
高野が私のことを見下ろしてる。
ドキドキが半端なくて、聞こえてないか不安になる。
「……やっと念願叶ったんだよ。俺、好きなやつに、振り向いてもらえた…んだよな?」
好きなやつって…私でいいのかな…?
「―――…高野の気持ちは…あの時から変わってないの…?」
「変わるわけない。……ずっと、川嶋のことだけが好きだ」
胸が締め付けられる。
嬉しさでどうにかなりそうなくらい。