桜が降る場所 (完)
――――…
放課後、委員会が終わって、川嶋と二人で教室に戻る。
教室にはもう、誰もいなかった。
よし。
俺はコッソリと拳を握った。
こんなチャンス、逃すわけにはいかない。
今日、川嶋に告白する。
川嶋とちゃんと話すようになってまだ日は浅いけど…俺の気持ちは固まってるし。
ずるずると先伸ばしするよりは、今しかない気がする。
他のヤツに先越されないうちに。
それに…涙の理由も聞きたいし。
頑張れ、俺っ。
俺はカバンに荷物を詰めながら、緊張を隠して川嶋に話し掛ける。
「…なぁ、一緒に帰らねぇ?川嶋も電車だよな?」
「うん、いいよー。ていうか、一緒に帰ろうとか初めてだよね。……え、何か企んでんの?」
川嶋はにやっと笑った。
こいつ、鋭いよな。
自分がコクられるとは思ってないだろうけど。
「それは…お楽しみ、かな」
「何それー?ま、いいけど。変な相談とか頼みには乗らないからね~」
あはは!と川嶋が笑う。
警戒心全くなしだな、と川嶋の笑顔を見て思う。
完全に友達として信用されてる証拠なのかもしれないけど。
教室を出て、川嶋と二人、たわいもない話をしながら、廊下を歩く。