「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「小惑星群破壊決議に、賛成の諸君は挙手を、お願い致します」

静かな議場に、緊張した空気が流れる中、全員が手を上げた。

李は、言った。

「皆様の勇気ある決断に、感謝いたします」

「今ここに、満場一致で、小惑星群破壊決議を採択いたします」


会議の後、李はビルの地下駐車場へ向かっている。

自宅はニュージャージーにあり、ここからは車で二十五分くらいの所であるのだが、長い間、帰っていない。

公邸は連合本部ビルの敷地内にあるのだが、奥さんは自宅が近いという事情もあり、移り住んでいない。李が一人で住んでいる。

今朝、奥さんから電話があったこともあり、一度、夕食だけでも一緒に食べようと思い、帰ることにした。

幸い、本日の会議は、二時過ぎに終わり、その後の決議の発表も四時に終了したので、自宅で夕食を共にして戻ってくる時間ぐらいは取れそうだ。

火星の復旧も急がねばならず、この先、いつ自宅に帰れるか分からない。少なくとも現在の状況が、落ち着くまでは帰れない。それは、まだまだ先の事になるであろう。

奥さんのヒュッジュに夕食を食べに帰る旨の電話を入れた後、車を地下駐車場に回してもらったのだった。

会議で十三発のミサイルを、明日の午前六時に発射することに決定した。
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