「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
その話し方と態度や表情などを見ていて、僅かではあるが不安感が静まったような気がしてきた。

あとは成功を願うしかない。

翌日、二人は核ミサイルが発射されたことを知り、昨日までよりも、やや気持ちの内面が重たくなったが、十八番に向けて出発した。

歩き始めて三、四十分進んだ所で、小山の上に大きな騎馬に乗った武者像が見え、何だろうと思い、近くに行って見てみると、義経像と書いてある。

なぜこのような所に義経の銅像があるのだろうかと不思議に思った。

しかも、やたらと、でっかいのに驚いた。

十八番恩山寺に着き、納経所に寄った折に、寺の人に義経像が、どうして、あんな所にあるのか訊いてみた。

寺の人によると、源平屋島の合戦の時に、義経が平家を追って上陸した場所だそうで、銅像のあった小山の所で義経が源氏の白旗を掲げ旗揚げをしたという話であった。

話を聞いた理絵が

「どうして、そんな昔の事が分かるの。見ていた訳じゃないのに」

と言うので、由紀も

「そうは思うけれど、あちこちに、似たような話はあるわよ。昨日のお大師さんの井戸の話とかね。でも言い伝えが残っているってことは、何らかのことが、やっぱりあったのじゃないの」

と言って理絵を納得させた。

朝、宿で見ていたニュースの合間に流れた天気予報では、今日の日中までは晴れだが、今夜からは崩れてきて雨になると言っていた。
< 127 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop