「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
一度言い出すと、過去の例をあげながら、お互いに

「お母さんが雨女」

「理絵こそ、雨女」

と言いながら歩いてゆく。

宿に着いて、食事をしに行き、座ってテーブルを見ると、夕食が綺麗に盛り付けられている。ちょっと箸をつけるのが、惜しいくらいである。

御飯を入れた櫃を、宿の人が持ってきてくれた時に由紀が、「盛り付けが綺麗ですね」と言うと、宿の人がここから少し山奥へ入った所の、お年寄りたちが「彩」といって盛り付けに華を添える植物を摘んで、出荷しているのだと教えてくれた。

「今日は、知り合いの、お婆ちゃんが、その余った物をくれたので、盛り付けてみました」
と言う。

いや、なかなか見事な盛り付けで食欲が湧いてくる。余り物とは思えないほど、綺麗であり、すばらしい。

「この彩の植物を毎日送ってもらい、盛り付けして食べたら、私が作る料理も美味しく感じるわね」

と由紀が言うと、理絵が

「正解・・・ほんと、ほんと、その通り。お母さんの料理は味より見た目ね」

と言いながら、とっくに、ぱくぱく食べている。

「それって、どういう意味」

と言いながらも、由紀も食べ始めた。

宿の人に、明日の昼食用の弁当を頼み、部屋に戻り明日の用意をしながらテレビを見ていた。ニュースでは相変わらず、小惑星群破壊に関する事ばかり流している。
< 129 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop