「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
小惑星群を詳しく観測するために、調査船より探査機が発射され、六時間後ぐらいに小惑星群を捉えた映像を送ってくると話している。

これまでに、たくさんの宇宙船が消息不明になっているのに、今度は上手くいくのであろうかと心配しながら見ていると、理絵の携帯電話が鳴った。

「ひょっとして、お婆ちゃんたちからかなぁ」

と着信相手を見ると、やはり思ったとおり大阪のお婆ちゃんからであった。

電話で、ここのところ報道が続いている小惑星群破壊のニュースの話をして、成功して被害が、どこにも出なければいいけれどねと話し合っている。

みんな不安を感じているのだ。

お婆ちゃんたちは、今夜は馬路温泉で泊まっていて、明日は観光をしながら、梶ヶ森という山の頂上付近にある、天文台が備わっている宿泊施設で泊まり、星の観察をして、次の日は、かずら橋や大歩危、小歩危など周辺を見て回り、祖谷渓温泉で泊まるのだそうだ。

その後は高知市内に入り、昼食は鰹のたたき料理、夕食は鯨料理を食しに行く予定だと言う。

理絵が何となく羨ましく思いながら聞いていると

「ところで、あなた方は今夜、どこで泊まっているの」

と訊くので、二十番へ登る山の麓であると答え

「いよいよ明日は、二十番と二十一番の難所に挑戦するの」

「この間の、お婆ちゃんたちからの電話で、お母さんが、びびってしまって、もう大変です。明日は地獄の一日が待っていると、言っています」

それを聞いて、お婆ちゃんたちが笑っている。
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