「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「離れないでよ、理絵。お願いだから離れちゃいやよ」
急に由紀が叫ぶように呼ぶ声に、理絵がびっくりして、跳び上がった。
鬱蒼とした老木の山道。
薄暗い中、雨がしとしとと降り続く。
理絵も周囲を見回して、不気味だなあと思った。
とにかく由紀に寄り添うように歩く。由紀は相変わらず、ぶつぶつとお経を唱えている。
すると由紀が
「酸素が足りない・・・酸素が足りないわよ、理絵」
と突然、大声で言うので、理絵は心臓が止まりそうなくらい、びっくりして
「突然に、叫ばないでよ。私がびっくりするじゃない」
標高が四、五千メートル以上もあろうかというような高山でもなし、酸素が足りない訳がない。自分の息がしんどくなっただけである。
そうはいっても、理絵も、さすがに疲れてきて、休息を何度もとりながら、二十一番太龍寺にたどり着いた。
「あ~、苦しかった。酸欠で死ぬかと思った。理絵が居なかったら、死んでいたかも知れない・・・私一人では、無理だわ、やっぱり」
昼食時までの元気は、何処へ行ってしまったのか、もう由紀には無かった。
以前に聞いた言葉と同じ様なことを言っている。
二十一番から下れば、今夜の宿である。
急に由紀が叫ぶように呼ぶ声に、理絵がびっくりして、跳び上がった。
鬱蒼とした老木の山道。
薄暗い中、雨がしとしとと降り続く。
理絵も周囲を見回して、不気味だなあと思った。
とにかく由紀に寄り添うように歩く。由紀は相変わらず、ぶつぶつとお経を唱えている。
すると由紀が
「酸素が足りない・・・酸素が足りないわよ、理絵」
と突然、大声で言うので、理絵は心臓が止まりそうなくらい、びっくりして
「突然に、叫ばないでよ。私がびっくりするじゃない」
標高が四、五千メートル以上もあろうかというような高山でもなし、酸素が足りない訳がない。自分の息がしんどくなっただけである。
そうはいっても、理絵も、さすがに疲れてきて、休息を何度もとりながら、二十一番太龍寺にたどり着いた。
「あ~、苦しかった。酸欠で死ぬかと思った。理絵が居なかったら、死んでいたかも知れない・・・私一人では、無理だわ、やっぱり」
昼食時までの元気は、何処へ行ってしまったのか、もう由紀には無かった。
以前に聞いた言葉と同じ様なことを言っている。
二十一番から下れば、今夜の宿である。