「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
下り坂の途中で由紀が、何度も足が攣りそうになり休む。理絵が由紀の足を擦ってあげながら

「今回の山道を克服したら、また一段と足が逞しくなって、しっかりしてくるね」

と言って元気づけるが、由紀は

「もうだめだわ。人間には限界があるのよ」

至って弱気になったものである。

一日の前半と後半で、こうも変わるのかと、理絵は思った。

由紀が攣る足を引きずるように歩きながらも、どうやら宿に着いた。

食事が済んで、部屋に戻る頃には、雨は上がり、由紀が

「何で今頃になって止むのよ。今日は、めちゃくちゃしんどかったのに」

と怒るが、天気に怒ってもしょうがない。怒るのだったら、自分の体力の無さに怒らないといけない。

部屋に戻ると、お婆ちゃんたちに電話をした。

「もしもし、由紀です。今日はどうにか亡霊にも会わず、無事にたどり着きました。最初は調子良かったけれど、最後は、ばてばてになりました・・・」

由紀の声に元気が無く、お婆ちゃんたちは、驚かしてごめんねと謝ったあと、明日からも大丈夫かと訊いた。

そして、良かったら、いつでも車で迎えに行ってあげるからねと言ってくれた。

由紀も、お婆ちゃんたちと話しているうちに、少し声も明るくなってきて、お婆ちゃんたちも一安心をし、その後、理絵と話をして電話を置いた。

蒲団に入り、テレビを見ていると、今朝の八時に探査機から、小惑星群の写真が送られてくるのに成功したと連合本部から発表があったと言っている。
< 138 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop