「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
歳が違う上に、日頃から運動をしたことなどなかったのだから、当たり前である。

朝食後、今日の行程を考えて、二十二番と二十三番の間にある宿を予約しておいてから、出発した。

本当は由紀の歩く速度を考えて、もう少し手前で宿を取りたかったのだが、予約した宿の手前に適当な宿泊施設が無いので仕方がない。

由紀に痛みに耐えて、がんばってもらうしかない。

二十二番平等寺を出て、近くで食事をして歩き始めた時には、午後一時を回っていた。

ここから宿までは、地図で見ると十五キロ近くはある。普通に歩けても、休みながらだと四時間は掛かるのに、由紀の足だと、五時間以上は掛かると覚悟しておかなければならない。

出来るだけ早く着けるように、由紀の荷物を幾分か理絵に移して荷物を軽くし、励ましながら歩いていると、うしろから追いついてきた人が、声を掛けてくれた。

「歩くのが辛そうですね。どこか、お悪いのですか」

声を掛けてくれた人は、由紀と理絵を十歳ずつくらい、老けさせた感じの二人連れであった。

由紀が、前回の筋肉痛の時ほどではないにしろ、若干、歩き方がぎこちなく歩く姿を見て、声を掛けてくれたのであろう。

由紀が筋肉痛のことを話すと、二人連れは奈良から来ていて、歩き遍路をしているのだが、今回はロープウェイを利用して、二十一番に、お参りをしたので楽であったと話してくれた。

母親らしき人は、毎年一度、歩いて四国巡礼をしているらしいのだが、今回、初めてロープウェイを利用したそうだ。
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