「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
四人で話をしながら歩いてゆく。
二人連れは母親の名が多美恵で、娘が千佳だと自己紹介して、これまでの身の上を話してくれた。
多美恵さんの夫は、消防の特別レスキュー隊員だったのだが、三十年近く前の大地震の時に、住民の救出作業中に余震が起きて、建物の下敷きになり、殉死したそうである。
その後、多美恵さんは三人の娘さんを育て、長女は看護師、次女が小学校の先生をしている千佳さんで、三女は長野県の人と結婚して、民宿の手伝いをしている。
長女は姉妹の面倒をよく見ていてくれたらしく、看護師になってからも、家族の世話をよくしてくれて、千佳さんが先生になれたのも、長女が、私たちの為にがんばってくれた、お陰だと話してくれた。
その長女が六年前に、心身の疲れからか、遺書も残さずに原因不明の自殺を遂げてしまい、その翌年から多美恵さんは毎年、歩き遍路に来ているのだと言った。
今年は、多美恵さんが歳がいって身体も衰えてきたし、七回忌で、ひと区切りがつくということもあり、千佳さんが、仕事の休暇をもらって、一緒について巡っているのだそうだ。
多美恵さんは今まで一人で歩きとおしてきたが、今回は十二番への道で、二人とも、かなり疲労したので、二十一番ではロープウェイを使ったらしい。
由紀と理絵は、自分たちのことも話しながら、一時間くらい一緒に歩いた。
そして、少し休もうと由紀が言ったのだが、多美恵さんたちは、由紀たちが予約している宿よりも遠い、日和佐で宿を予約しているので
「急ぐので先に行きます」
と言って、休息を取らずに歩いて行った。
予約をしていた、田井ノ浜の宿には考えていたよりも少し早く着いた。
途中で多美恵さんたちと話しながら歩くうちに、気が紛れて、それなりの速度で歩いたからなのであろう。
二人連れは母親の名が多美恵で、娘が千佳だと自己紹介して、これまでの身の上を話してくれた。
多美恵さんの夫は、消防の特別レスキュー隊員だったのだが、三十年近く前の大地震の時に、住民の救出作業中に余震が起きて、建物の下敷きになり、殉死したそうである。
その後、多美恵さんは三人の娘さんを育て、長女は看護師、次女が小学校の先生をしている千佳さんで、三女は長野県の人と結婚して、民宿の手伝いをしている。
長女は姉妹の面倒をよく見ていてくれたらしく、看護師になってからも、家族の世話をよくしてくれて、千佳さんが先生になれたのも、長女が、私たちの為にがんばってくれた、お陰だと話してくれた。
その長女が六年前に、心身の疲れからか、遺書も残さずに原因不明の自殺を遂げてしまい、その翌年から多美恵さんは毎年、歩き遍路に来ているのだと言った。
今年は、多美恵さんが歳がいって身体も衰えてきたし、七回忌で、ひと区切りがつくということもあり、千佳さんが、仕事の休暇をもらって、一緒について巡っているのだそうだ。
多美恵さんは今まで一人で歩きとおしてきたが、今回は十二番への道で、二人とも、かなり疲労したので、二十一番ではロープウェイを使ったらしい。
由紀と理絵は、自分たちのことも話しながら、一時間くらい一緒に歩いた。
そして、少し休もうと由紀が言ったのだが、多美恵さんたちは、由紀たちが予約している宿よりも遠い、日和佐で宿を予約しているので
「急ぐので先に行きます」
と言って、休息を取らずに歩いて行った。
予約をしていた、田井ノ浜の宿には考えていたよりも少し早く着いた。
途中で多美恵さんたちと話しながら歩くうちに、気が紛れて、それなりの速度で歩いたからなのであろう。