「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
二人は、一円玉を、たくさん持っていなかったので、石段の傍にある両替所で一円玉に換えてもらい、石段を上り始めた。

それにしても、石段の上には多くの一円玉が、置かれてあり、歩いて上がろうとすると、置かれている一円玉を避け切れなくて、仕方がなく踏んでしまう。

「お金を踏んでもいいの?」

と理絵も言っているが、どうしようもない。

避けようの無いほど一円玉が、置かれてあり、その上に多くの人が一円玉を置きながら石段を上っていて、避けて通りようが無く、時々踏んでしまう。

「お祈りをしながら行けば大丈夫よ」

と言いつつ由紀も一円玉を置きながら上っていく。

石段を上り詰めて、上に着くと、境内から海岸と海が見え、綺麗であった。

午後、二十三番のある日和佐の町から、二時間ほど歩いて、道端でお茶を飲みながら休んでいると、大学生風のグループ五、六人が

「お先に」・・・「がんばってください」・・・

とそれぞれが休んでいる二人に向かって声を掛けながら、追い越して行った。

二人は、お兄ちゃんたちも学生時代に、彼らみたいな感じで、お四国巡りをしていたのだろうと思った。

十五分か二十分くらい休息を取っている間に、中年のおじさんや僧侶、お爺さん、外国人、など色んな人たちに追い抜かれてしまった。

中には自転車で通り過ぎた遍路もいた。

二人には、自転車で、お四国巡りをしている人は、どうやって山道を克服したのだろうと話し合った。二人には想像もできないような体力が、必要な気がする。

次の二十四番最御崎寺は、室戸岬の高台にあり、高知県になる。
< 143 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop