「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
「表面を拡大写真により詳しく分析してみますと、クレーターなどは見受けられず、ほとんどは砂や小石などで覆われており、少々大きな岩のような物も見受けられます。写って見えるものは、すべてが同じ様な状態であり、これまで一般的に観測されてきた小惑星と、特別に様子が違うという風な印象ではありません。よりまして人工物体とは考えられません」

「以上の観測結果から、ミサイルの照準を最大の物に二発、その他の小型の物に十一発を均等の間隔で命中するように、照準すればよろしいのではないかと考えます。小型の物については、密集して進んで来ておりますので、二十数個のすべてに命中させられなくとも、爆発の衝撃で飛ばされたり割れたりして、地球への軌道からは大きく逸れるものと考えております」

「それから、天文衛星の観測によりますと速度が、今なお加速しております。計算によりますとミサイルの命中する予定日時が早まり、明日の午後十時頃、地球到達予測時刻の二十七時間前となります」

「なお小惑星群の軌道は、現在の観測状況では、地球から千五百キロ以内の地点を通過する軌道であると推測され、衝突の危険性もかなり高い確率であります」

「以上が我々が観測ならびに検討した結果であります」

報告が終了後、李が科学者に地球や月面基地、宇宙船やステーション、火星などの人類の施設にどの程度の被害が予測されるか問うたが、今までに経験の無い事態であり、計算でも簡単に結果が出てくるものではなく、予測しかねるが、上手くいけば甚大な被害は回避できるのではないかと返答があった。

李はミサイル・コントロール室と科学者らが協力して、ミサイルの照準の微調整をして合わすように指示を出し、午後三時から小惑星群の写真と分析結果の公表を、それと合わせて、今後の予定の会見発表を行なうと補佐官に言い、別室でその、うちあわせを行なった。
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