「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
その後、各国全権に写真と分析結果と今後の予定を伝え、各国政府への伝達を速やかに行なうように、要請した。


会見発表は、若干遅れて始まり、終了したのは午後五時過ぎであった。

会見発表が終了すると、李は車を回してもらい、乗り込み、運転手に言った。

「すまないがニューヨーク市内を一周、走らせて見てくれ。それから自由の女神が見える所を通るように、お願いする」

李は市内を車内から見てまわる。

会見発表後も、今のところ市民は普通に活動しているようには見える。

車の中からであり、街行く人々が何を話しているのかは、聞こえないし、何を考えながら歩いているのかも分からないが、心の中には大きな不安を抱えているであろう。

まもなくである。あと一日あまりで、小惑星群破壊の時が来る。

再び世界中の市民が安心して暮らせられるように、どんなことがあろうとも成功させなければならないのだ。

李は重圧で押し潰されそうになるのを耐え、明日の破壊を成功へと導き、世界を希望の見える将来へと導くのだと決心している。

自由の女神が見える所を、ゆっくりと進んでいると、雨が通り過ぎてゆき、女神が遠くに霞んだ。

霞む女神を李は見つめていた・・・
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