「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
進むうちに雲が切れてきて、雲と雲の切れ間から、太陽の光の筋が差し込んできて、その光の筋の先があたる海面の所だけがキラキラと輝いている。

最初は遠くの海面を、きらめかせていた光の筋が消えたかと思うと、次の瞬間、少し近くの海面に光の筋が数本伸びてきて、光の当たった海面がきらめく。

次第に光の筋が増えてきて、キラキラと輝く海面の数が多くなってくる。

まるで舞台の上のスポットライトのようだった光の筋は、やがてカーテンのようになってきて、光の波がウェーブして雲と海の間で揺らめく。

どんどん歩いて行くうちに、雲は取れて明るい海面が広がってくる。太平洋の広々とした海に青い色が広がっていき、その色が徐々に濃くなってゆく。進めば進むほどに、海の青さは、増してくる。

間もなく午前十一時になろうとしていた。




午後九時四十五分、ニューヨークの連合本部ビル、その小惑星群対策室

前日、小惑星群対策室を通信本部の近くの第七会議室に設置して、李や補佐官、科学者たちが待機している。

間もなく命中する。

天文衛星が、命中の瞬間を捉えた映像を、対策室のモニターで見られるようになっている。

ミサイルを発射二日後、小惑星群への軌道を微調整した時に、宇宙空間に浮かぶ全宇宙船やステーション、月面基地に向かって、小惑星群破壊時に注意するように、警告を発信しているのであるが、念のために一時間ほど前にも、再発信した。

午後十時となった。
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