「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
科学者が命中予定時刻まで、残り四分二十数秒であると告げた。

李は映像がモニターに映るのは何分後になるのか訊ねると、今から、およそ十数分後には、爆破の瞬間を捉えた映像が映りますと答えがあった。

モニターには、小惑星群が飛来してきている方向が映っているのだが、小惑星群はモニターの中心部分に、かすかな点のように見えているだけである。

もちろんミサイルは小さすぎて映ってはいないが、命中すれば明るく輝く筈である。

破壊の程度は、天文衛星から送られてくる情報の、詳しい分析結果を待つことになるが、命中したかどうかは、モニターで十分確認できる。

五分が過ぎた。
科学者は命中予定時間が過ぎたことを告げる。

映像は、まだ届かないが、すでに破壊されている筈である。

全員がモニターを凝視している。破壊の瞬間を見逃すまいと、身動きもせず、ひたすら見つめている。

十分が過ぎた。
もうすぐである。

もうすぐ危険が去っていく映像が見られるのである。

李は、破壊後も、まだまだ、しなければならない事は数多くあるが、少なくとも最も大きな重圧からは、逃れられる筈だ。

そう信じている。

手を握り締めて、祈るような目つきで見つめている・・・

対策室は静まりかえっている。
< 154 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop