「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
十五分が過ぎた。
モニターの映像には何も変化が起きない。

爆発の閃光が、映る筈の時間が過ぎてゆく。

誰もが命中しなかったのであろうか・・・いやそんな筈は無い、と自分に言い聞かせるように待つが、刻々と時間だけが過ぎてゆく。

時間が過ぎれば過ぎていくほど、全員の表情が強張ってくる。

遂に二十分が過ぎて、李が立ち上がり、科学者に叫んだ。

「どういうことだ。失敗だったのか。大至急、調べてくれ」

いつもは冷静で、声を荒げた言い方をすることの無い李であるが、かなり大きな声であった。

顔の表情も相当厳しくなっている。

科学者たちは、すぐに天文衛星から送られてくる情報の解析作業に入った。


爆破の速報を伝える為に、各国全権には、全体会議の会議場に待機してもらってある。

李は補佐官のひとりに、各国全権に爆発の確認が遅れているので、今しばらく待機しておいてもらうように、伝えてくるように指示を出した。

何ということだ。

この先どうすればよいのだろうか。

李は失敗のショックで、頭を両手で抱え込んでしまった。

その時、傍に居た首席補佐官が

「総長、今回は不成功だったと思われますが、核ミサイルは時限式ミサイルが、まだ十発残されております。すぐに発射の準備をすれば、もう一度打ちこめるかも知れません。間に合うか、どうかは分かりませんが、やれるだけ、やってみる価値はあると思います。少しでも可能性のある限り、諦めずにトライしましょう」
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