「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
補佐官の言葉に、李は気を取り戻し、頷き

「至急、残りの核ミサイル十発を保有している国の全権を別室へ呼び出し、発射準備に入るように要請して、どのくらいの時間で発射準備が完了するか、本国へ問い合わせるように指示をしてくれ。あくまでも今回の失敗は、現在、映像機器の不調の為に、確認作業が遅れているのだと言って、伏せておくようにして、念のために、第二次の発射準備をしておくのだと説明しておいてくれ」

李は混乱を避ける為に、少しの時間、間を取り、破壊が不成功に終わった事を伝えることにした。

午後十一時になろうかという時に、科学者が来て、李に報告した。

「天文衛星の映像解析によりますと、小惑星群は、そのままの状態で飛来してきております」

「つまり破壊には成功しておりません。ミサイルの発信信号の記録からは破壊予定時刻の直前までは順調で正常に飛行しているのが確認されましたが、なぜ命中しなかったのか全く分かりません」

「命中する直前に、目指す小惑星群の距離と位置を正確に合わせるために、ミサイルから破壊力の無いレーザー光線を照準照射して、自らの判断により微調整を行い、設定されていた目標に当たるはずであり、どうやらレーザー光線の照準照射を開始したところまでは正常だったようなのですが・・・不思議であります」

「それと、小惑星群の速度が、一段と加速をしており、地球付近への到達予測時刻が早まります。ただいま計算したところ、明日の午後十時、つまり今から二十三時間後ということになります。小惑星群の軌道予測は地球から千キロ以内となり、前回の計算よりも、より地球に近づいております。地球への落下の可能性も、かなり高く、対策を急がねばなりません」
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