「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
ただし大気圏突入の直前に、古くなって落下してきた衛星を、攻撃破壊した例は今までに何度もあるが、小惑星規模の物体が破壊できるかは未知数である。

しかし、他に有効な手段が無い今となっては、とにかく、ぶっつけ本番で試す以外に道がない。

各地域の保有状況を確認し、行動を起す手順を検討してゆく。

まず、電子ビーム砲などの搭載艦を、ただちに出航させて洋上待機させ、戦闘機も小惑星群が地球へ到達する直前には、発進させて空中待機させておかねばならない。

また地上から発射する電子ビーム砲や迎撃ミサイルが誤って味方の戦闘機を攻撃したりすることのないように、配置とチェックを怠らないようにしなければならない。

一連の作業が、もうすぐ終了しようとしている時、第二次の核ミサイル発射が可能になるには、さまざまな機器のチェックや核弾頭の装填などがあり、準備が完了するまでには、どんなに早くても二十四時間は必要であると連絡が入った。

実際には、その後に標的へのセットなどを行なうので、もう少し時間が掛かるであろう。
とてもじゃないが間に合わない。

第二次の核ミサイル発射は諦めなければいけない。

作業は、どうにか各国全権を召集している午前一時三十分に間に合い、李や補佐官たちが会議場へ向かった。


午前一時三十分
李は会議場に入り、ここまでの経過の説明を始めた。

最初に核ミサイルによる破壊攻撃が、完全に失敗に終わった事を告げると、ある程度の予測がなされていたとはいえ、議場が大きくどよめき、落胆の溜息が漏れた。
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