「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
各国とも自国を守りたいのは分かっている。

当然のことであろうが、それでは兵器の無い国は、ただ、なす術も無く、被害を防ぐ手段が無い。ここは各国、各人ののイデオロギーやナショナリズムを抑えてもらい、世界の為に行動をしてもらわなければならない。

過去に於いて、一国の指導者のナショナリズムにより不幸を味わった国民がいる。また間違ったイデオロギーの為に辛酸を舐めさせられた国民や、戦争までには至らずとも、不快な目にあった国民もいる。

今は大人の対応をしてもらい、間違っても子供的な発想を持ってもらっては困る。あくまでも地球全体を救う為の行動であることを、自覚して臨んでもらいたい。

李はそのことを非常に強く要望した。

各国の全権は、自国の要求を抑え、李の要望どおり、沈着冷静に部隊の配置や行動順序を決定してゆく。

時刻は午前四時になろうとしている。

対策室の誰もが疲労を感じてはいたが、それ以上の強い気持ちと使命感で、危機を乗り越える為に奮闘していた。小惑星群の脅威を取り除くために、懸命の努力を続けていた。

東の空の裾が明るくなってくる。

夜明けが近づいてきて、徐々に明るさが広がってゆき、東の空の裾はオレンジ色に染まり始める。最も裾の部分が濃いオレンジ色をしていて、その上に淡いオレンジ色、黄色、緑、白っぽい青、濃い青色と続き、上空には、まだ星が瞬いている。

間もなくすると太陽が昇り始め、西の空に残っていた暗さを、その輝きで吹き飛ばし、一気に夜が明ける。
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