「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
会見発表が終了して、李は立ち上がり、目の前に居並ぶ世界中の報道陣に対して

「報道協力、まことに有難う御座いました。あなたがたの協力のお陰で世界中がパニックに襲われずに済むでしょう。私は世界中が乱れて暴動や略奪が発生しないかと憂慮しておりました。本当に感謝いたします」

と深々と礼を言った。

会見場の片隅から、パチパチパチ・・・と拍手が鳴り始め、やがて会見場全体が拍手に包まれた。

「がんばりましょう事務総長」・・・

たくさんの記者が声を掛けている。

李は
「これからです。とにかく、いかなることがあっても小惑星群の地球衝突を防がなければなりません。今後も協力を、お願いすることがあるかも知れませんが宜しくお願い致します」

そう言って、会見発表を終了し、会見場を後にした。

通路に出た所で、会見発表の打ち合わせ中に小惑星群が減速を始めた事を伝えに来た女性の科学者が待っていて、小惑星群は引き続き減速をしており、午後一時に到達予測時間の再計算を行なうと伝達があった。

その後、李は事務総長室に入り、世界各地の反応や人々の様子を見ようと、テレビのスイッチを入れ、ニュースを見た。

その映像を見ている限りにおいては、今のところは平穏であり、どこにも社会情勢が悪化している兆しは見当たらない。とはいっても、つい先ほど会見発表の報道が流れたところでもあり、今しばらくは様子をみなければならないであろう。
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