「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
小惑星群は、どんどん減速を続けており、もう少しで火星通過時の速度程度に落ちてくると言い、現在の状況では到達予想時間は、午前零時前後であるが、これより速度が落ちてくると、もっと先になると伝えた。

そして彼女が
「次は三時過ぎに参ります」

と言って帰った後、テレビの報道番組を見ていたが、全米でも、かなり有名なキャスターのモニカが出てきて、冷静な報道をしてくれていて、今のところ、引き続き社会情勢は落ち着いている様子であり、李は安堵した。

テレビを見ているうちに、いつのまにか、うとうとと、してきて、ソファに座ったまま居眠りを始めてしまい、夢を見ながら何かを話しているのか、口が、ぶつぶつと何かを喋っているように動いている。

昨夜は一睡もせず、そのうえ非常事態となり、相当なる重圧と戦いながら激務をこなしている。世界を守らなければならないと、気を張り詰めてはいるが、かなり疲労しているのであろう。

三時半頃、予定よりも、やや遅れて到達予想時間を知らせに来たところで、李は秘書官に起こされて、目が覚めた。

瞬間、今まで見ていた夢が目の前にちらつき、自分が事務総長室に居るのが分からなかった。

科学者からの説明によると、小惑星群は先ほどから火星通過時の速度よりも減速をしていて、依然、減速が続いているらしく、現在の到達予測時間は明日の午前一時過ぎに延びるが、減速が続いている状況なので、この分だと、もう少し先になるのではないかということであった。
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