「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
また軌道が、より地球に近づき五百キロ以内の位置となって、地球に落下してくる可能性は限りなく百パーセントに近づきつつありますと言う。

李は、すぐに対策室に向かう。

その途中で、日本の全権である笹田と擦れ違いジェラルディーンのことを伝えた。

急なことで伝える暇が無かったのであろう、笹田はジェラルディーンがワシントンに行ったのを知らなかった。

笹田とジェラルディーンは、これまで、中部と東部太平洋担当のアメリカと西部太平洋担当の日本との間での、部隊の配置などの連絡と調整の協議などをしていたのだが、突然の知らせに笹田は驚いた。

笹田はこれからすぐに、アメリカ全権代行のジョンデイリーのところへ行ってみますと言い、李と別れた。

対策室に入ると、各国と連絡を取り合っている補佐官を呼び、最新の情報を各国の全権と政府に伝えるように指示をした後、世界中の平和維持軍の、配備の進捗状況を調べて報告するように言った。それに加えて、地球上空での小惑星群爆破を、全宇宙船やステーションならびに月面基地に向け警告発信しておくように伝えた。

対策室には緊張した空気が流れ、全員が慌しく動いている。

世界を守る為に必死で働いてくれているのだ。

とにかく、地球への到達が遅くなれば、なるほど、迎撃態勢が整う。

できれば、できるだけ先になることを、李は願っていた。




目覚ましが午前六時から鳴っている。

五分ほど鳴り響いたところで、ようやく由紀が目を覚まして、目覚ましを止めた。
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