「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
まるで怪獣映画にでも出てくるような、モンスターのような岩や、よく見ると巨人の顔のように見えるものもある。

牙のように先の鋭く尖った岩もあり、それらの岩礁群に波が打ちつけて、砕けて舞い上がっている。その先には紺碧の色をした大海原、太平洋が弧を描き広がっている。

岬の先端から徳島方面へ歩いていくと御蔵洞や神明窟があり、その先には青年大師像が立っている。説明書きを読んでみると、御蔵洞で青年時代の弘法大師が修行をして、難行苦行の末に明星が大師に飛び込んできて、悟りを開いたとある。

気温は三十度を越えているのかも知れない、汗が噴き出してくる。

理絵は暑さのせいもあり、海の水を触ってみたいと思い、歩いて波の打ち寄せている所まで、行ってみようと道路の下にある海岸の遊歩道に下りて歩いた。

遊歩道を歩いてみると、黒い岩礁群は、道路から見ていたよりも、更に巨大な感じがして、身に迫ってくる。

少し歩き進むだけで、我が身は岩陰に隠れ、もう道路からは人影は見えなくなる。遊歩道から離れて、岩伝いに海に向かって歩いてゆくと、岩と岩の間に海水の溜まっている水溜まりが、そこかしこにあって、中を覗くと熱帯魚のような原色の美しい色をした小魚が泳いでいる。

理絵は「綺麗だなぁ」と覗き込みながら、小魚を手で追ったりしてみた。

少し遊んで歩き出すと、そのすぐ傍に砂が少し溜まっている所があり、よく見ると、とげとげの砂があるのに気がついた。

その砂を掬って、手のひらの上にのせてみると星の輝きのような形をしていた。

色々な形の物があり、どうやら珊瑚の成れの果てのようである。
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