「金剛戦士Ⅰ」黎明の夢
敷き終えた蒲団にもぐりながら由紀が
「そうねぇ、どっちに来ようか。迷うわねぇ・・・」
「つつじと蛍の見ごろが一ヶ月ぐらい、ずれているしねぇ」
と仰向けに寝て、天井を見つめながら、少しの間、考えている風であったが
「ねえ、来年は、お婆ちゃんたちみたいに車で、のんびり一ヶ月くらい掛けて四国を一周しようか。お参りと観光を兼ねて」
と理絵に言うと、すでに横になっていた理絵が賛成して
「それグッドアイデア。できれば、お兄ちゃんや勇太が帰って来てたらいいのにね。そしたらみんなで一緒に来られるかも・・・」
少しの時間、沈黙が流れた。
直や勇太さんが、本当に無事だといいのに。理絵の言葉で二人が同時に、そう思った。
「ねえ理絵、それじゃぁ思い切って車を買い換えようか・・・」
と言いながら理絵を見ると、彼女は小さな寝息をたて始めていた。
由紀は一番を出発して、歩き始めてからずっと、寡黙な理絵のことが気になっていた。
でも今日は、少し明るくなって、気持ちが幾分、安らいだ。
そして眠りながら、ふと十年前に亡くなった夫の宏のことを思い出し、生きていれば家族で来られていたかも知れないのにと思うと、ちょっと辛くなった。
夫の宏は、世界的に有名な物理学者で、大学で主に太陽系や銀河系の探究を行なっていた。そして十二年ほど前に、有人宇宙船により木星の衛星を探査する計画がスタートした時に、その一番機の乗組員の一員に選ばれた。
その後、探査機のパイロットとして選ばれた訳ではないのだが、一応、操縦知識やメカニズムの勉強とか実施訓練などをこなし、地球上空の宇宙ステーションなどで宇宙滞在の体験など、さまざまなトレーニングを二年近く行なった。
「そうねぇ、どっちに来ようか。迷うわねぇ・・・」
「つつじと蛍の見ごろが一ヶ月ぐらい、ずれているしねぇ」
と仰向けに寝て、天井を見つめながら、少しの間、考えている風であったが
「ねえ、来年は、お婆ちゃんたちみたいに車で、のんびり一ヶ月くらい掛けて四国を一周しようか。お参りと観光を兼ねて」
と理絵に言うと、すでに横になっていた理絵が賛成して
「それグッドアイデア。できれば、お兄ちゃんや勇太が帰って来てたらいいのにね。そしたらみんなで一緒に来られるかも・・・」
少しの時間、沈黙が流れた。
直や勇太さんが、本当に無事だといいのに。理絵の言葉で二人が同時に、そう思った。
「ねえ理絵、それじゃぁ思い切って車を買い換えようか・・・」
と言いながら理絵を見ると、彼女は小さな寝息をたて始めていた。
由紀は一番を出発して、歩き始めてからずっと、寡黙な理絵のことが気になっていた。
でも今日は、少し明るくなって、気持ちが幾分、安らいだ。
そして眠りながら、ふと十年前に亡くなった夫の宏のことを思い出し、生きていれば家族で来られていたかも知れないのにと思うと、ちょっと辛くなった。
夫の宏は、世界的に有名な物理学者で、大学で主に太陽系や銀河系の探究を行なっていた。そして十二年ほど前に、有人宇宙船により木星の衛星を探査する計画がスタートした時に、その一番機の乗組員の一員に選ばれた。
その後、探査機のパイロットとして選ばれた訳ではないのだが、一応、操縦知識やメカニズムの勉強とか実施訓練などをこなし、地球上空の宇宙ステーションなどで宇宙滞在の体験など、さまざまなトレーニングを二年近く行なった。